生物学(バイオ)大学院生の新卒就職活動:修士編|ライフサイエンス

生物学(バイオ)系大学院生の就職活動:修士編

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一般に、生物(バイオ)系やライフサイエンス系の学部や研究科は新卒採用での就職がないと言われています。しかし、博士課程に進学にしないのであれば、就職活動は避けられません。

本記事では、生物系の修士課程に在籍する大学院生に向けて、「生物(バイオ)系院生が就職に不利な理由」と「就職活動の進め方」を紹介します。

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生物(バイオ)系院生が新卒採用の就職で不利な6つの理由

生物(バイオ)系院生が新卒採用の就職で不利な6つの理由

一般に言われていることと私の意見を交え、生物(バイオ)・ライフサイエンス系院生が就職に不利な6つの理由を説明します。6つと言っていますが、それぞれは独立しているわけではなく、重なっている部分もあります。

製薬は薬学・有機化学系、食品は農学系

以下の表は、証券コード協議会が定めている業種一覧です。生物学系の大学院生が専攻を生かして就職しようとすると、狙う業種は食料品か医薬品が主になるでしょう。確かに、バイオ系のコンサル会社やファンドも増えてはきましたが、それら企業は新卒よりも中途採用が中心です。

それでは単純に食品会社と医薬品会社ばかりを受ければよいかというと、それは危険です。

なぜなら、製薬は薬学・有機化学系や医科学系の学生が、食品関連は農学系や栄養系の学生が全国から応募してくるからです。そして、後述しますが、応用研究を行っているラボが多い薬学や農学系は就職活動にやや有利に働きます。

また、食品会社は知名度が高く、学生人気があるため、倍率がとても高いです。医薬品系は給与が高く、福利厚生が他の業界より手厚いです。すなわち、生物系院生の主なターゲットになる食品と医薬は、新卒学生の人気業界であり、薬学系・化学系や農学系の院生と戦って席を勝ち取らないといけません。

生物(バイオ)系は基礎研究が多い

生物系研究を大きく分けると、基礎研究と応用研究があります。

基礎研究は、生命を理解しようとするもので、生命現象に重要な機構を発見および説明することに価値があります。応用研究は、基礎研究で得られた知見を踏まえ、社会課題の解決を図る研究を行います。何らかの商品やサービスが生まれます。例えば、ヒトの免疫を明らかにする研究は基礎研究、ヒトの免疫システムを利用したワクチン研究は応用研究と言えるでしょう。

2. 生物(バイオ)系は基礎研究が多い

さて、企業は利益を上げることがミッションで、企業の研究開発職は売れる製品やサービスを開発しています。

そのため、おのずと企業の研究職は応用研究を求められることが多くなります。昔のように自社で基礎研究から手掛けている企業は少なくなってきています。ここでは深く述べませんが、アカデミアが基礎研究と応用研究の前半、産業界が応用研究の後半を担う流れにあり、産学連携によって基礎研究から応用研究へ、そして製品・サービスとして昇華することが求められています。

ここで指摘したいことは、生物系研究は基礎研究が多く、薬学や医科学、農学は応用研究が多いということです。疾患の治療方法や薬剤の開発は薬学系、医学系で主に行われています。食品や化粧品に使える有用成分研究は農学系、化学系ラボで行われているケースが多いように思います。

そして、企業から大学院生を見た場合、応用研究をしている院生はやや有利のように思います。というのは、企業が社内の研究員に求める業務は、ほぼ応用研究だからです。

もちろん、新卒の修士課程の大学院生に対し「基礎研究上がりはいらない」ということはありません。しかし、何らかの社会課題を解決するため、製品・サービスを世に送りだすことに価値を置く応用研究は、まさに企業側が求める研究です。

やや余談ですが、就職活動で自身の研究内容の発表を求められることがあります。ここで苦戦しやすいのは基礎研究ラボの大学院生です。基礎研究者の価値(自然科学の探求)と企業が求める価値(利益)が異なるからです。

なお、私は基礎研究の否定者ではありません。むしろ、企業が大学へ産業に役立つ応用研究ばかりを求め、それに大学が応じると、基礎研究の担い手が社会からいなくなってしまうことを危惧しています。

募集企業が少ない割に大学院生が多い

3. 募集企業が少ない割に大学院生が多い

日本が世界に誇るメーカーと聞いて、皆さんはどのような企業を思い浮かべるでしょうか。

トヨタ、ソニー、日立、ニコン、ヤマハ発動機、東芝、島津製作所などが頭に浮かんだのではないでしょうか。これらは企業はすべて機器メーカーです(知名度が低いだけで海外売上の大きい機器メーカーはもっとあります)。

日本は工学産業を中心とする国です。そして、残念ながらバイオ系産業はそれほど強くありません。大手製薬企業は抗体医薬などバイオ医薬に力を入れていますが、海外ではもっと早期に抗体医薬や核酸医薬の実用化を進めていました。

このことは、兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科鷲津研究室の記事でも述べられています。

当然ながら機器メーカーが欲しい大学院生は、主に工学系の研究科の院生です。機器メーカーは企業数が多く、求人数も多いです。反対に、バイオ系企業は企業数が少なく、求人数が少ないです。もちろん、求人倍率は企業の求人数(需要)と志望者数(供給)で決まるため、求人倍率は求人数の多少だけでは決まりません。

しかし、明確な統計がなかったものの、新卒の募集を見る限り、バイオ系企業の募集は少なく(そもそもバイオ系企業が少ない)、一方でバイオ系の院生の数はそれほど少なくないように思います(ここの統計データは調べます)。

研究開発職を志望する

4. 研究開発職を志望する

修士課程で得た経験を直接的に仕事に活かしたい学生が多いので、研究開発系の職種への志望者が多くなります。しかし、研究職開発系の職種は離職率が低く求人数が少ないため、ただでさえ少ないバイオ系求人の中でもさらに競争が激しくなります。

大企業であっても研究開発職の募集は毎年あるとは限りません。

動物や細胞の都合で動いている

5. 動物や細胞の都合で動いている

これは薬学や農学系にも当てはまることですが、動物や細胞、菌など生き物を扱った研究をしている場合、それらの世話・管理が最優先事項です。また、一度実験が始まると、3時間間隔で検体を採取してアッセイするなど修行のような日々が続くケースもあります。

そのような状況ですので、企業説明会や面接のスケジュール調整に苦慮します。

自由応募と推薦

6. 自由応募と推薦

「理系の大学院生なら推薦枠ですぐに内定を取れるだろう」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、今は昔ほど推薦枠はなく、特に基礎研究のラボは企業との接点がないため、そもそも推薦枠がないことの方が多いです。バイオ系は企業数が少ないので、工学系のようには推薦枠が多くありません。

企業との共同研究が盛んなラボは、企業側からラボの先生へ「学生が欲しい」と声をかけるケースがあります。なお、推薦枠があってもしっかり面接などされるので、昔のように推薦=内定とはいきません。

ほとんどの修士課程の学生は、推薦ではなく自由応募で企業にエントリーします。

ここまでのまとめ

生物(バイオ)系大学院生が就職活動に不利な理由のまとめです。生物系だけでなく、他の研究科も同様であることが多いのであまり悲観しないようにしましょう。

まとめ
  1. 製薬は薬学・有機化学系、食品は農学系がこぞって応募する。
  2. 生物学系は基礎研究が多く、薬学、化学、農学の方が応用研究をしている。企業は応用研究を好む。
  3. それほど求人は多くない研究開発職に応募が集まる。
  4. 実験動物や細胞の都合でスケジュールが決まるため、就職活動のスケジュール調整が大変になる。
  5. 推薦は少なく基本は自由応募。

生物(バイオ)系大学院生の就職活動の進め方

修士課程の新卒者向けに就職活動の進め方を述べます。M1の秋ごろから情報収集だけでも始め、12月ごろからエントリーや面接に移れるとよいでしょう。もっと早くからエントリーを開始している企業もありますが、それまでは大学院生としての研究を優先した方がいいでしょう。研究がまったく進んでいない状態では就職活動にも身が入りません。

生物(バイオ)系大学院生の就職活動の進め方

推薦があるか確認する

教授や学務課に推薦枠があるか確認しましょう。知らないだけで推薦枠があるかもしれません。

推薦に興味がなくても、推薦があるか、あるならどのような企業の推薦枠かは把握しておきましょう。就職活動を進めるうちに、自身の興味や価値観が変わることはよくあります。後々その企業に興味が出るかもしれません。

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まずはリクナビなど大手の総合就職サイトに登録しましょう。この時点で志望業界などを絞る必要はありません。リクナビやマイナビあたりの2つくらいに登録しておけばよいです。

また、スカウト(逆求人)型サービスにも登録しておきましょう。スカウト型サービスとは、自身の情報を登録しておけば、企業からオファーが来るサービスです。

特に大学院生には登録を勧めます。なぜなら、企業が大学院生を採用する際は「このような実験・研究ができてほしい」「この分野に詳しい人がほしい」と具体的な希望がある場合が多く、企業はスカウト(逆求人)型サービスで希望に該当する学生を探しているからです。

キミスカ」などがスカウト(逆求人)型就活サービスです。

大学院生であれば研究内容も選考対象になるため、研究内容を登録しておけば企業が読んでくれます。

もちろん学生は無料で登録できますのでどちらもとりあえず登録しておけばよいでしょう。

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こちらの記事でスカウト型(逆求人)就職活動サービスが普及した理由やメリットを書いています。

志望業界と志望職種を複数挙げる

業界とは産業界のことです。医薬品、情報・通信、エネルギーなどです。職種は研究職、営業職、品質管理などです。

志望業界を優先するか、志望職種を優先するかは人それぞれです。職種にこだわらず医薬品に関わりたい人もいれば、業界にこだわらず研究職に就きたい人もいます。

登録した就活サイトの求人や企業のウェブサイトを見ながら、最低でも業界2つ、職種2つを挙げましょう。初めから1つに絞るのはあまりよくありません。

職種に関しては、以下の一覧表が参考になるかもしれません。

DODAの職種一覧

企業・業界研究で情報収集をする

企業・業界研究で情報収集をする

興味のある企業をピックアップしていきます。まず10社を挙げて企業研究をしましょう。説明会に参加したり、OBから話を聞いたりします。

多くの企業が集まる合同の説明会は、興味のある企業が参加している場合か、特定業界に特化したタイプの合同説明会にのみ参加を検討してください。何百社も集まる合同説明会は、就職活動している気になるだけで、「いろいろ企業あったなあ」と思って終わりです。参加するならあらかじめ説明を聞く企業を絞っておきましょう。

OB訪問は必須ではありませんが、具体的に企業の話を聞けるので、他の就活生よりも詳細な志望動機が書けるようになります。機会があるならOB訪問するのもいいでしょう。

エントリーシートを作る

10社の企業研究で残った企業へ就活サイトからエントリーします。ここが最も大変です。なぜなら、エントリー時点で志望動機や自己PRを求められることが多く、さらに企業によって要求される項目が異なるからです。現在の研究概要をエントリー時点で提出する場合もあります。

ここでエントリーシートをどんどん提出できる人とできない人に分かれます。なかなか提出できない人は、100点のエントリーシートを作ろうとしているケースが多いです。なんでもそうですが、100点の文章など書けません。自信がなくてもエントリーシートを書ききって提出しましょう。

エントリーを進めながらも次の企業を探す

エントリーを進めながらも次の企業を探す

エントリーシートの提出を進めながらも、次の企業を探しましょう。企業によって新卒採用の開始時期は異なるので、いつの間にかエントリー可能になっている場合もあります。

自己PRと志望動機

生物(バイオ系)大学院生の自己PRと志望動機の書き方は別の機会に紹介したいと思います。

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