博士課程から民間企業へ転職されたA・Fさんの就職活動体験談です。A・Fさんは、博士課程で神経科学の研究をされ、新卒で化学メーカーへ就職されました。
博士課程で就職活動をされる方、博士課程への進学に迷われている方は、是非ご一読ください。
自己紹介
私は医学系の大学院で基礎研究 (神経科学) に関する研究に取り組み、博士 (医学) を取得しました。
その後内資系の化学メーカーに就職し、再生医療に使用する材料開発に関する研究に取り組んできました。現在は事業戦略に関わる部門で業務に取り組んでいます。
就職活動でエントリーした業界・業種
バイオ関係の研究を専攻していたことから、就職活動では製薬企業や化学企業といったバイオ産業に関わる企業を中心にエントリーしました。業種は研究職が中心でしたが、マーケティング職のような専門知識をいかせる業種にも応募しました。
博士課程の就職活動スケジュール:時期
就職活動のスケジュールはその年の方針や社会情勢によって変化しますが、私が就職活動を行った年は4月に選考が解禁されていました。
就職活動は前年の12月から対策を開始しました。まずは就職活動支援サイトを通じて企業にエントリーし、その後大学の就職支援室に数回訪問して志望動機や自己PRの作成を開始しました。
志望動機や自己PRは選考開始後に結果を見ながら変更を繰り返しましたが、文章の骨格は早い段階で完成させていました。またSPIの対策もこの時期から開始しました。
使用した就職活動支援サイト
就職活動支援サイトは複数ありますが、基本的に掲載されている企業は同じであったため、1つのサイトをメインで使用してそこに掲載されていないものを他のサイトで補うという方法で進めました。
私が就職活動を行っていた際はリクナビが最も企業情報が豊富であったためこちらを中心に使用していました。また、リクナビに掲載されていない求人情報もいくつかありましたが、そちらはマイナビからエントリーしていました。そのほかのサイトにも登録していましたが、基本的にこの2つで対応できたと思います。
志望動機・自己PRをどのように書いたか
自分がその企業でどのように貢献するかを中心に作成しました。
就職活動を開始した頃は応募した企業に興味を持った理由や自分の専門性について記載していましたが、あまり面接に進むことができませんでした。
そこで就職活動の本質的な部分を考えたところ、企業は私が大学院で何に取り組んだかではなく、自社に利益をもたらすかを確認しているのであり、大学院での取り組みはその参考であると考えました。そこで志望動機や自己PRの記載内容を、「〇〇ができる」ではなく「〇〇ができた自分だから貴社にこのように貢献できる」という書き方に変更しました。具体的には「新しい解析方法を開発した自分だから、新しい分野に挑戦し続ける貴社であれば新技術開発という点で貢献できる」という提言を含んだ内容です。
このような記載内容に変更してからは面接に進む企業数が大幅に増えました。
就職活動で一番苦労したこと・乗り越えたこと
就職活動で最も苦労したことは、伝えたい内容を分かりやすく説明することです。
大学の研究室は専門家の集まりという環境なので、多少複雑な説明であっても相手が理解してくれる場合が多いです。しかし実際のビジネスの場面では異なる専門の人間の集まりであるため、専門外の人への説明は驚くほど多くあります。そういった意味でも、面接官などにわかりやすく説明するということはビジネスにおいても重要なスキルであるといえます。
わかりやすく説明するために重要なことは、簡単な言葉で端的に短い時間で伝えることだと考えています。これを身に着けるためには、日々の心掛けが重要だと思います。研究室では、研究のプログレスレポートなど、研究室のメンバーに近況報告を行う機会が多いと思います。1つ1つの会議でわかりやすく説明することを常に意識しておけば必ず身につくスキルであると思います。
就職を考えている人が研究室選びで注意すべき点
企業での就職を考えているのであれば、就職活動に理解がある研究室を選択することが重要です。
博士課程での就職活動であっても、修士課程や学士課程と同様、十分に時間を費やす必要があります。以前は研究室が親しい企業への紹介などもあったと聞きますが、正直なところ現在ではあまり聞きません。たとえ優れた研究を行っていたとしても、就職活動に十分な時間を費やすことができなければ就職は難しいと思います。
OB、OGの就職実績などをしっかりと調査したうえで研究室を選択することが良いと思います。
就職するためにやるべきこと
企業への就職を視野に入れているのであれば、就職活動を行う時期 (2-3年目、医歯薬系だと3-4年目) の時点では博士課程修了要件を満たす見込みをつけておくことが重要です。
企業側は計画した採用人数に内定を出すため、博士課程の学生に対しては予定通り修了できるのかという質問を行う場合が多いです。この点が不明確な学生に対しては内定を出しにくいと思います。
また、早い段階で修了要件を満たしておけば就職活動に十分な時間を費やすことも可能になります。
博士課程修了の目途を早めにつけておくという点は、これらの理由で就職活動には非常に重要になるため、しっかりとスケジュールを立てて進めていくことが良いと思います。
博士課程に進学すると就職できないか
博士課程に進学することで就職活動が不利になるかということをよく聞かれますが、個人的にはあまり感じませんでした。
学士課程、修士課程との大きな違いとして専門性が一致しない業界は応募資格がない場合もありますが、一方で専門性を必要とする業界、職種であればむしろ面接に進みやすい印象もありました。博士課程で学んだ専門性をいかして働くという意思を持っているのであれば、特に就職に不利であるという印象を持つ必要はないと思います。
個人的に思う就職活動における博士の強み
博士号を取得して企業で務めた上で感じた博士の強みは、自然科学系の論文の執筆を経験している点だと思います。
博士の強みは専門性という考え方もできますが、企業で働く上では論文執筆経験が最も重要であると筆者は考えています。自然科学系の論文は仮説を検証していくという構成ですが、この考え方は企業で仕事に取り組む上で非常に役に立ちます。これは研究に限ったことではありません。博士課程では自分の研究を論文に仕上げるという貴重な経験ができるため、この点を意識しながらしっかりと取り組んでいけば良いと思います。
博士課程進学を視野に入れている人に向けて
博士課程に進学すると就職が難しいという話をよく聞きますが、しっかりと準備を行っておけばそれほど怖がる必要はありません。
博士課程での研究には大変なことも多くありましたが、自然科学系の論文を執筆するという経験を経て企業に入ったことは、現在仕事に取り組む中でも非常に役立っていると感じています。博士課程での経験を企業でいかすためには、日々の取り組み1つ1つの意味を考えて取り組んでいくことが必要です。このような意識をしっかりもっておけば企業に入ってから十分に活躍できると思います。
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