SDS-PAGE バンドの歪みの原因と対策 -バッファー編-

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前回は、SDS-PAGE バンドの歪みの原因と対策 -サンプル編-をお届けしました。今回はサンプルバッファーとランニングバッファーが原因で起こる電気泳動・ウエスタンブロットのトラブルをご紹介します。SDS-PAGEのトラブルシューティングです。

ドデシル硫酸ナトリウムの劣化が原因であることが多い

一般的なSDS-PAGEでは、サンプルバッファー、ランニング(泳動)バッファー、ゲルにドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate, SDS)が含まれています。ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate, SLS)と呼ばれることもありますが、ここではSDSで統一します。

あまり知られていませんが、他の電気泳動に使う化合物と比べ、SDSは比較的劣化しやすく、水に溶かして室温で保管していると分解されてpHが下がります。酸性になったバッファー類でSDS-PAGEをすると泳動がなかなか進まなくなったり、バンドの歪みが発生します。

サンプルバッファー

一般的なSDS-PAGEサンプルバッファーは、SDS、2-メルカプトエタノール (2ME), ブロモフェノールブルー、グリセロール、トリス、グリシンから成り、pHは6.8です。
サンプルバッファーには、pH指示薬のブロモフェノールブルーが入っているので、pHが下がると黄色になります。しかし、ブロモフェノールブルーの色をSDS劣化の指標にするのは危険です。確かに、 ブロモフェノールブルーはpHが下がると黄色になりますが、これはかなり劣化が進んだ後です。見た目の色が変わらずともSDSの劣化は起きています。

ランニングバッファー

ランニング(泳動)バッファーは、SDS、トリス、グリシンから成り、pHは8.3前後です。サンプルバッファーと違い、こちらは無色の液体なのでpH試験紙で簡単にpHを確認できます。

ドデシル硫酸ナトリウム劣化の対策

バッファー類を用事調製すれば解決しますが、SDS-PAGEなど電気泳動試薬を用事調製するのは手間なので避けたいところです。
できることと言えば、バッファー類を冷蔵で保管することです。一方で、SDSは析出しやすいため、使う前はバッファーを室温に戻してから使うことを推奨します。

また、SDSは加水分解すると1-dodecanolが発生し、これが水に対して難溶だそうです(Nakagaki & Yokoyama, 1985)。析出しやすくなった、室温に戻しても析出物が消えないといった現象が現れた場合、バッファーを再調製した方がよいかもしれません。

引用文献: Nakagaki & Yokoyama (1985)Acid-catalyzed hydrolysis of sodium dodecyl sulfate. J. Pharm. Sci. 74 (10): 1047-1052.

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