パンゴリン(和名:センザンコウ)は、COVID-19の原因ウイルスである 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の媒介宿主となり得る可能性があること明らかになった。
現在、コウモリがSARS-CoV-2を保有している可能性が高いと考えられている。しかし、ヒトへの感染源がコウモリだとは限らない。コウモリからヒトへウイルスが感染したのではなく、コウモリから別の生物にウイルスが感染し、その生物からヒトへウイルスが感染した可能性もある。つまり、コウモリとヒトの間にSARS-CoV-2の媒介生物が存在する可能性である。
Shantou Universityの研究者チームは、密輸防止活動によって押収されたマラヤのパンゴリン(Manis javanica)から得られた組織サンプルを分析した。パンゴリンは絶滅の危機に瀕している哺乳類だが、食用や伝統的な漢方薬として違法に取引されている。
Nature誌に発表されたLamら(2020)の報告によると、サンプリングした多くのパンゴリンは、SARS-CoV-2に関連するコロナウイルスを保有していた。特に、SARS-CoV-2に関連するコロナウイルスの2つの亜系統を発見し、そのうちの1つは、受容体結合ドメインがSARS-CoV-2と高い類似性を持っていた。
彼らは、2017年8月から2018年1月の間に、中国南部の広西チワン族自治区にある税関の密輸対策職員によって収集された18匹のマラヤパンゴリンから複数の冷凍組織サンプルを得て、それらから分離したRNAを解析した。分析した43のサンプルのうち6つのサンプルに複数のコロナウイルスが存在していた。
系統分析により、これらパンゴリンのコロナウイルスはSARS-CoV-2と同じ系統であると考えられた。
また、2018年5月から7月の間に、同じく広西チワン族自治区で押収された12匹のパンゴリンの組織を用い、qPCRでSARS-CoV-2のテストを行った、その結果、3匹のパンゴリンの肺組織サンプルからSARS-CoV-2が検出された。
さらに、2019年3月に広州で密輸された5匹のパンゴリン、広東省の病気のパンゴリンを分析した結果、両方のケースでSARS-CoV-2様のコロナウイルスの存在が確認された。
彼らは、パンゴリンを通じてヒトに SARS-CoV-2が感染した可能性を指摘する一方で、結論を出すには更なる調査が必要としている。
参考文献
genomeweb(2020)SARS-CoV-2-Related Coronaviruses Found in Pangolins.
Lam, T.T., Shum, M.H., Zhu, H. et al.(2020)Identifying SARS-CoV-2 related coronaviruses in Malayan pangolins. Nature.
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