バイオ実験のコツ

非還元SDS-PAGE(Non reducing SDS-PAGE)とは?

更新日:2020年1月18日

はじめに

タンパク質電気泳動法のひとつであるSDS-PAGEには、還元条件で行われるものと非還元条件で行われるものがあります。単にSDS-PAGEという場合は、還元条件のSDS-PAGEを指し、最も一般的な方法です。
なお、Native(ネイティブ)-PAGEと非還元SDS-PAGEは別物と思ってください。 Native-PAGEも確かに非還元条件で行う電気泳動ですが、Native-PAGEは還元/非還元だけでなく、タンパク質の変性を極力抑えながら電気泳動をする手法です。 機会あれば別の記事でご紹介します。

還元/非還元の違い

両者の違いは、 SDS-PAGE サンプルバッファーに還元剤を入れるか入れないかです。非還元SDS-PAGEのサンプルバッファーには還元剤を使用しません。SDS-PAGEでは、2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol, 2-ME)やジチオトレイトール (dithiothreitol, DTT) が還元剤としてよく使用されます。
非還元SDS-PAGEにおいても、その他の試薬は還元SDS-PAGEとまったく同じです。ウエスタンブロットも還元SDS-PAGEと同じように行えます。

タンパク質を還元する意味

タンパク質は単量体(monomer)と多量体(polymer)に分けられます。多量体は、複数のタンパク質分子で構成され、2種類ならダイマー(dimer)、3種類ならトリマー(trimer) と呼ばれます。多くの場合、多量体におけるタンパク質分子間の結合はジスルフィド結合(S-S)です。
すなわち、ターゲットタンパク質が多量体であり、多量体のままSDS-PAGEを行いたい場合に非還元SDS-PAGEを行います。

画像引用:Disulfides, BIOSYNTAN

非還元SDS-PAGEをする実験

細胞にあるタンパク質を発現させてダイマーの形成を確認したい場合、ターゲットタンパク質を精製後、非還元SDS-PAGEを行い、CBB染色で確認します。還元SDS-PAGEをすると、せっかくダイマーを形成していてもモノマーのバンドが現れます。
また、抗体の都合で非還元SDS-PAGEを行うこともあります。一部の抗体は、アミノ酸配列だけでなく、タンパク質の高次構造を認識して反応します。そのような抗体を還元SDS-PAGEを行ったサンプルに使用してもバンドは現れません。還元はタンパク質の高次構造を壊す処理だからです。前もってメーカーのウェブサイトや説明書で確認してから購入されることを推奨します。特に注意書きがなければ還元条件で使用できます。抗原名や交差性だけで抗体を選ぶのは少し危険です。

非還元SDS-PAGEに使えるサンプルバッファー

還元剤不含のSDS-PAGEサンプルバッファー例です。

#1610737 Laemmli サンプルバッファー (BIO-RAD)
#198-13282 試料用緩衝液(2ME-) (×4)(富士フイルム和光純薬)
#09500-64 試料緩衝液(SDS-PAGE用, 6倍濃縮, 還元剤不含)(ナカライテスク)


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