バイオ実験のコツ

大腸菌(E. coli)からのゲノムDNA抽出プロトコル

フェノール/クロロホルム法を用いて大腸菌からゲノムDNA(gDNA)を回収する方法をわかりやすく紹介します。市販の抽出キットは使用しません。試薬の作り方も記載しています。

用意する試薬とラボウェア

用意する試薬とラボウェア

DNA抽出に必要な試薬一覧

  • トリス
  • 20mg/mL Proteinase K溶液
  • フェノール/クロロホルム (1: 1で混合したもの)
  • 100% エタノール
  • RNase
  • SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)
  • EDTA
  • トリプトン(Tryptone)
  • 酵母エキス(Yeast extract)
  • 塩化ナトリウム
  • 5N 水酸化ナトリウム
  • LB培地(作製方法は下記参照)
  • TEバッファー(作製方法は下記参照)
  • 大腸菌溶解バッファー(E. coli Lysis buffer)(作製方法は下記参照)

DNA抽出に必要な試薬調製

LB培地の組成(1L)
・トリプトン 10g
・酵母エキス 5g
・塩化ナトリウム 10g
を800mLの精製水に溶解し、200μLの5N 水酸化ナトリウムを添加します。
精製水で全量を1Lにします。

TEバッファーの組成(詳細な作り方はこちらの10×TEバッファーを参照)
・10 mM トリス塩酸バッファー (pH 8.0)
・1 mM EDTA (pH 8.0)

大腸菌溶解バッファーの組成(10 ml)
・9.34 ml 1×TEバッファー
・600μl 10%SDS溶液
・60μl 20mg/mL Proteinase K溶液

必要な機器、消耗品

  1. 卓上遠心機
  2. 1.5-2.0mlチューブ
  3. 培養インキュベーター
  4. 実験手袋

大腸菌からのゲノムDNA抽出プロトコル

1. LB培地で培養した1.5mLの大腸菌を1.5-2.0mlチューブに移し、12,000 rpm以上(室温)で1分間遠心分離します。
チューブの底に大腸菌の白いペレットができます。

2. デカンテーションやピペッティングで上清を捨てます。
ペレットを捨ててしまわないよう注意します。ペレットがチューブ底面から浮いている場合、もう一度12,000rpm以上で1分間遠心分離します。

3. チューブへ600uLの大腸菌溶解バッファーを添加します。ボルテックスミキサーで強くボルテックスし、ペレットをしっかり溶解させます。

4. 37℃で一時間インキュベーションします。

大腸菌からのゲノムDNA抽出プロトコル1

5. 600uLのフェノール/クロロホルム(1:1)をチューブへ添加し、転倒混和でよく混ぜます。
ボルテックスミキサーは使用しません。DNAが切断される恐れがあるからです。

6. 12,000rpm以上(室温)で5分間遠心します。
中間に白く薄い(主にタンパク質が含まれる)層が現れます。DNAは上層(水層)に存在します。

7. ピペットでチューブ中のDNAフラクション(水層)のみを慎重に回収し、別のチューブへ移します。
このとき、白く薄い中間層にピペットチップの先端が触れないように注意します。

8. 回収したDNAフラクション(水層)に対し、白いタンパク質層が見えなくなるまでステップ5-7を繰り返します。

9. DNAフラクション(水層)に等量のクロロホルムを加え、転倒混和で混合します。
DNAフラクション(水層)からフェノールを除去する操作です。フェノールが残存するのと、その後のPCR効率が低下します。

10. 12,000rpm以上(室温)で5分間遠心します。

11. 上清のDNAフラクション(水層)を別のチューブに移します。

12. 回収したDNAフラクション(水層)に3倍量の100%エタノールを加え、転倒混和で穏やかに混合します。
DNAペレットが生じます。冷やしたエタノールを使用するとDNAペレットが形成されやすくなります。

13. チューブを-20℃で30分間以上静置します。

大腸菌からのゲノムDNA抽出プロトコル2

14. 12,000rpm以上(4℃が望ましいが室温でも可)で15分間遠心します。

15. デカンテーションやピペッティングで上清を捨てます。
DNAペレットを捨てないよう注意します。

16. 室温の70%エタノールを加え、転倒混和で穏やかに混合します。

17. 12,000rpm以上(室温)で2分間遠心します。

18. デカンテーションやピペッティングで上清を捨てます。
DNAペレットを捨てないよう注意します。
DNAペレットが崩れてしまったり、浮いてしまった場合、もう一度12,000rpm以上(室温)で2分間遠心します。

19. DNAペレットを乾燥させます。
ヒートブロックでチューブを37℃に温めると早く乾燥します。乾燥させすぎるとDNAペレットが溶解しにくくなります。DNAペレットが少し湿った状態で乾燥を止めます。

20. 乾燥させたDNAペレットを1×TEバッファーで溶解します。
DNAペレットには大量のRNAが含まれています。 RNAを除去した場合、終濃度1mg/mLのRNaseを加えます。 または、RNAaseを終濃度1mg/mLで大腸菌溶解バッファーに直接添加しておきます。

こちらもチェック

参考文献

He, F. (2011). E. coli Genomic DNA Extraction. Bio-101: e97. DOI: 10.21769/BioProtoc.97.

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