CBB染色の原理とプロトコル(方法)・組成【SDS-PAGE】

CBB染色

CBB(Coomassie Brilliant Blue; クマシーブリリアントブルー; CBB)は、SDS-PAGEゲルの染色、Blue Native-PAGE(ブルーネイティブペイジ; BN- PAGE)、タンパク質の定量法のブラッドフォード(Bradford)で使用される色素です。

広く使用されている上に、それほど高価ではないので、タンパク質研究への貢献度は非常に高い化合物と言えます。

今回は、SDS-PAGE(タンパク質電気泳動法のひとつ)後のゲル中のタンパク質を可視化する「CBB染色の原理、作り方、プロトコル」を紹介します。

CBB染色の色素 : R-250とG-250

CBB(Coomassie Brilliant Blue)染色は、ドイツの研究者であったVolker Neuhoffによって最初に報告されました。Coomassieの名前は、1896年にイギリスがアフリカのKumasiを占領したことに由来します。元々はウールの染料として使用されていました。

CBB染色で使用される色素はR-250とG-250の2種類があります。どちらもゲル染色に使用されます。タンパク質の検出において、R-250の方がG-250よりもやや高い感度を示します

G-250は、中性のpH 7付近で濃紺色を示し、酸性のpH 2付近では淡い褐色に変化します。また、G-250は酸性条件下でタンパク質に結合すると、その吸光度は465nmから595nmへ変化します。タンパク質定量法のひとつであるブラッドフォード法は、G-250のこの吸光度の変化を利用してタンパク質の量を測定します。
R-250は、pHに応じて大きく色が変化することはありません。

CBB染色 : R-250とG-250
出典:Yoshio, S.(2018)総タンパク質の定量法, ぶんせき, 1, p2-9.

CBB染色の原理

CBBとタンパク質の結合様式は、CBBのR-250とG-250側のスルホ(Sulfonic acid)基とタンパク質側のアミノ(Amino)基によるイオン結合、およびファンデルワールス力による結合です。どちらも非共有結合です。

CBB染色液中にSDS-PAGEゲルを浸すことで、ゲルの中へCBBが入り込み、ゲル中のタンパク質と結合します。そのままではゲル自体も青くなっているため、脱色してタンパク質と結合していないCBBをゲルから除去します。

感度については、染色時間や脱色時間で変わりますが、およそ50ngくらいあればバンドとして検出できます。感度を求める場合は銀染色を推奨します。

CBB染色の原理

CBB染色の作り方とプロトコル・方法

CBB染色に必要な試薬・ラボウェア

  1. クマシーブリリアントブルー R-250(Coomassie Brilliant Blue R-250, CAS No. 6104-59-2, C45H44N3NaO7S2)
    市販品例:東京化成#B3194, 富士フイルム和光純薬#031-17922, ナカライテスク#09408-52
  2. 酢酸(Acetic Acid, CAS No. 64-19-7, CH3COOH)
    市販品例:富士フイルム和光純薬#014-00266関東化学# 01021-01ナカライテスク#00211-95東京化成#A2035
  3. メタノール(Methanol, CAS No. 67-56-1, CH3OH)
    市販品例:富士フイルム和光純薬#131-01826, 関東化学#25183-00, ナカライテスク#21915-35
CBB染色に必要な試薬・ラボウェア

CBB染色液とCBB脱色液の作製(組成;作り方)

  1. CBB染色液 100mL
    250mgのクマシーブリリアントブルー R-250に、10mLの酢酸と90mLの50v/v%メタノール(メタノール:脱イオン水=1:1)を加えてスターラーで溶解します。
  2. CBB脱色液 100mL
    10mLの酢酸と90mLの50v/v%メタノール(メタノール:脱イオン水=1:1)を混合します。
CBB染色液とCBB脱色液の作製(組成)

CBB染色のプロトコル・方法

  1. タッパーにCBB染色液を注ぎ、そこへSDS-PAGE後のゲルを入れます。
  2. シェイカーの上にタッパーを置き、30分間以上振とうします。
  3. タッパーからCBB染色液を除き、脱イオン水で5分間×2回振とうします。
  4. 脱イオン水をタッパーから除き、CBB脱色液を注ぎます。30-60分間程度浸透します。
  5. 目的のバンドが見えていることを確認できれば脱色を止めて完了です。

CBB染色の操作方法(動画)

CBB染色と銀染色の違い

SDS-PAGE後のゲルを染色してバンドを確認する方法には、銀染色法もあります。

銀染色の方が感度が高く、ゲル中の数ナノグラムのタンパク質を検出できます。しかし、銀染色は、染色操作が煩雑で、かつ廃液から銀アミド(爆発性)が生成される恐れがあり、塩酸や塩化ナトリウムを加えて塩化銀を形成させなければいけません。

一方、CBB染色は、50ng程度以上のタンパク質がなければゲル中のバンドを確認できません(染色条件による)が、銀染色よりも簡単に染色できます。

大まかに分けると、組換えタンパク質や抗体など発現量が多いものはCBB染色、内因性のタンパク質など発現量をコントロールしにくいものは銀染色が使用されます。

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参考文献

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