新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検査法の運用についてのガイドライン第3版

2020年4月17日に国立感染症研究所から「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査運用についてのガイドライン第3版」が公開されました。

以下は当該ガイドラインの転載です。

はじめに

新型コロナウイルス検出検査が国内各地で急増している現状及びこれまでの検査実績を踏まえ、「 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 病 原 体 検 出 マ ニ ュ ア ル 」(https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf)に記載された検査(リアルタイム RT-PCR 法)の運用例を示す。
なお、下記の運用は陽性コントロール RNA やウイルス RNA を用いて、検査精度が確認されていることが前提である。

リアルタイム RT-PCR 法の検出感度と運用

【リアルタイム RT-PCR 法の検出感度と運用】
病原体検出マニュアルに記載の方法で検査した場合、分離ウイルスから抽出した
RNA(Accession LC521925)を使って本リアルタイム RT-PCR 法の検出感度を測定したところ、N セットは 7 コピー、N2 セットは 2 コピーのウイルス RNA を検出できる計算である。

またこれまでの数多くの検査結果から N2 セットのほうが N セットよりも陽性率が高いことが明らかになっており、特にウイルス量が非常に少ない検体では、N2 セットの 2 施行のうち 1 施行でのみ陽性がみられることもある (ただし、N セットのみでの陽性もまれにではあるが見られる)。従って上記検出感度は 2 系統を 2 施行で行うことにより担保される。

しかしながら、1 施行で検査を行った場合や、N2 セットのみで検査を行った場合の感度の低下が限定的であることが明らかになったため、検査数の増加に対応しつつ、且つ、検査体制の維持を図りながら一定以上の検出感度を保って検査を運用するために、検査系、施行数について以下のように取り扱うことは、容認できると考えている。

各状況における運用例

流行が終息し、全国的にも患者の発生がほとんどみられない場合

N セット及び N2 セットをそれぞれ 2 施行で行う。どちらかのセットで1つで
も陽性となれば陽性と判断する。反応終了時間直前で 1 施行でのみ増幅曲線の立ち上がり見られるなど、判断が困難な場合はその検体のみ再試験を行う。

複数の自治体で患者の発生が続いている流行時期の場合

N2 セットを 1 施行で行う。この場合も判断が困難な場合はその検体のみ同様に再試験を行う。

無症状者および退院患者の陰性確認検査

N2 セットを 1 施行で行う。判断が困難な場合はその検体のみ同様に再試験を行う。

環境スメア検体等

N2 セットを 1 施行で行う。判断が困難な場合はその検体のみ同様に再試験を行う。

再試験について

RNA の抽出からではなく、精製した RNA を用いて同じ試験を再度行う。同様に波形の立ち上がりが検出できた時には、陽性と判定する。

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参考文献

国立感染症研究所(2020)新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検査法の運用についてのガイドライン第3版.

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