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唾液検体からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出

鼻咽頭ぬぐい液および喀痰の問題点

現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2, COVID-19の原因ウイルス)の検査において、検体は鼻咽頭ぬぐい液もしくは喀痰(かくたん)が使用されています。鼻咽頭ぬぐい液はスワブを鼻の奥まで入れなければならず、喀痰においても大きな咳払いをしなければ採取できません。どちらにおいても、検体採取過程で患者のくしゃみや咳によって、ウイルスが飛散する恐れがあります。特に検体を採取する医療従事者は感染リスクを避けられません。

もし他の採取しやすい検体を検査に使用できれば、医療従事者の感染リスクを低減させることができます。

唾液検体の有用性

イェール大学の研究者グループは、鼻咽頭ぬぐい液と唾液を検体とした場合を比較し、唾液を検体とした方が高感度にSARS-CoV-2を検出できると報告しました。

MedRxivにプレプリント(未査読論文)として “Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs. “として公開されています。

論文では、COVID-19の重症患者44人およびCOVID-19曝露のリスクが中等度から高度の無症状の医療従事者98人から、それぞれ鼻咽頭ぬぐい液と唾液のどちらもが採取されました。SARS-CoV-2ウイルスの検査した結果、唾液検体は鼻咽頭ぬぐい液よりも高感度かつおよび結果のバラつきが少ないことがわかりました。

出典:Anne et al.(2020)Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs, MedRxiv.

また、この実験では、鼻咽頭ぬぐい液では陰性と判定された無症状の医療従事者2人の唾液からSARS-CoV-2が検出されました。鼻咽頭ぬぐい液では見逃されていた検体でもSARS-CoV-2を検出できる可能性があります。

同様の研究論文

オーストラリア・メルボルンの研究者グループが、同様の知見となる「Saliva as a non-invasive specimen for detection of SARS-CoV-2」をJournal of Clinical Microbiology誌にLetter to the Editorとして報告されています。

この研究では、2020年3月25日から2020年4月1日の間にロイヤルメルボルン病院で採取された622人の検体が使用されました。622人のうち、全員の鼻咽頭ぬぐい液が採取され、そのうち522人(83.9%)の患者からは唾液も採取されました。採取後はどちらの検体もQiagen EZ1 platformを用いて核酸に精製されました。

鼻咽頭ぬぐい液622検体のうち、39検体(6.3%)がRT-PCR検査で陽性と判定された。陽性であった39検体のうち、同一患者から採取された33検体の唾液からSARS-CoV-2が検出されました。一方、鼻咽頭ぬぐい液で陰性であった 50 人の患者の唾液検体をRT-PCRで検査すると、 50 検体のうち 1検体でSARS-CoV-2が検出されました。

この研究において、唾液の感度は鼻咽頭ぬぐい液よりも低かったですが、著者らは鼻咽頭ぬぐい液を採取するスワブの不足を指摘し、唾液は第一選択の検体になり得ると述べています。

参考文献

Anne et al.(2020)Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs, MedRxiv.

Eloise et al.(2020)Saliva as a non-invasive specimen for detection of SARS-CoV-2, Journal of Clinical Microbiology.

Genetic Engineering & Biotechnology News(2020)SARS-CoV-2 Detection in Saliva Samples is Sensitive and Consistent.

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