更新日：2020年4月20日
日本で販売されている、あるいは開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2, COVID-19, 2019-nCoV)検出キットをまとめました。
検出方法にはPCR法、イムノクロマト法、核酸クロマト法があります。
RT-PCR法：
ウイルスRNAを逆転写酵素でcDNAにし、増幅して検出します。検体は喀痰（かくたん）か鼻咽頭拭い液です。
イムノクロマト法：
ヒト体内にあるウイルスに対する抗体を検出します。抗体があるということは、ウイルスが体内に入っている/いたということです。検体は血液です。
核酸クロマト：
ターゲットの核酸と結合をする標識オリゴを反応させて検出するハイブリダイゼーション法を用いた手法です。
製品写真および製品説明文はリンク先の販売元からの引用です。
日本で販売中の診断薬
シスメックス;Sysmex(BGI Genomics製)
3月27日（金）に体外診断用医薬品製造販売承認を取得した、「2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット（製造販売元：シスメックス株式会社、体外診断用医薬品製造販売承認番号：30200EZX00017000）」が、同日3月27日（金）に保険適用されました。
これにともない、シスメックスは、3月30日（月）より医療機関への本製品の提供を開始します。
栄研化学
Loopamp® 新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット
『Loopamp®新型コロナウイルス 2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット』の製造販売承認を厚生労働省より取得したことを受けまして、本製品を体外診断用医薬品として 4 月中旬に発売いたします。
日本で販売中の試験研究用試薬
クラボウ
新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）抗体検査試薬キット（イムノクロマト法）
血液中の新型コロナウイルス抗体（IgM,IgG）を迅速に検出します。操作手順は、①検体の添加 ②検体希釈液の添加 ③15分程度静置 の３ステップ。
ラインの有無を目視で確認することで結果を簡単に判定できます。
開発元は提携先の中国企業とあります。
栄研化学【販売終了】
ヒト由来検体中から抽出したSARSコロナウイルスRNAをRT-LAMP法によって増幅し、検体中のSARSコロナウイルスを高感度、迅速、簡便に検出する試薬です。
RT-LAMP法は対象のRNAから逆転写酵素によりcDNAを合成し、得られたｃDNAをLAMP（Loop-mediated Isothermal Amplification)法を用いて増幅することにより、検体中のSARSコロナウイルスを検出します。
-2020年4月4日追記-
薬事承認を受けた診断薬の発売開始に伴い、こちらの研究用試薬は販売終了となります。（栄研化学, 2020年4月3日）
関東化学(Kogene Biotech社製)
PowerChek(TM) 2019-nCoV Real-time PCR Kit
今年2月に韓国食品医薬品安全処（MFDS）と韓国疾病管理予防センター（KCDC）から、新型コロナウイルス感染症の迅速診断向けの体外診断用医薬品（IVD）としての緊急使用承認を取得しており、韓国国内で既に広く使用されております。世界保健機関（WHO）のガイドラインに則した検査が可能であり、韓国国外での活用が期待されております。同検出キットは、関連製品の「シカジーニアス® DNA/RNAプレップキット（ウイルス用）」などを用いて精製したRNAをテンプレートに、リアルタイムPCRによって新型コロナウイルス特異的な遺伝子（RdRp）を検出することが可能です。また、新型コロナウイルスだけでなく既存のコロナウイルス（βコロナウイルス）特異的な遺伝子（E遺伝子）も検出できます。
ロシュ・ダイアグノスティックス
LightMix Modular Wuhan Coronavirus Assays
リアルタイムPCR法を用いた検査キットです。本試薬は、日本国内においては国立感染症研究所による比較試験の結果、同研究所が使用している検出方法と同等であることが認められています。
フナコシ(RayBiotech社製)
Coronavirus（SARS-CoV-2）IgG/IgM Test Kit
ヒト血清，血漿，全血中の抗新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に対するIgGまたはIgM抗体の定性検出に適したキットです。金コロイド用いたラテラルフローデバイス（lateral flow device）により，反応ラインの有無により迅速に検出できます。
医学生物学研究所（MBL）
FLUOROSEARCH™ Novel Coronavirus (SARS-CoV-2) Detection Kit
国立感染症研究所「病原体検出マニュアル2019-nCoV」記載のリアルタイムPCR による検出系を参考に、検出性能は維持しつつ、より効率的に検査が可能な試薬を完成させました。
その特徴は、新型コロナウイルス遺伝子の2 ヵ所の領域を別々のチューブで反応して測定する国立感染症研究所の検出系を改良し、2 ヵ所の領域を１つのチューブで反応して陽性か陰性かの判定が可能な点になります。これにより、操作性に優れた試薬となり、さらに、PCR の反応が正しく行われているかを確認できる内部標準を追加することで、検査の精度も向上しております。
日水製薬（ RANDOX Laboratories社製）
Evidence Investigator Molecular Package
Evidence Investigatorはコンパクトな半自動ベンチトップ アナライザーです。コンパクトなデザインは最小限のベンチスペースで最大限の検体処理能力を実現します。 呼吸器感染症（新型コロナウイルス）パネル以外にも臨床化学.薬物検出.食品分析の分野でも検査を効率的に検査が行える装置です。
- 検査プラットホーム –
・検査時間 : 最初の検査結果まで約5時間
・検体処理能力 : 54検体
*実質52検体（Neg/Posコントロール使用時）
または53検体（Negコントロールのみ）同時処理
・遺伝子検査に対応
・核酸より検出
・多様なテストメニュー
富士フイルム 和光純薬
SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit
検査時間の大幅な短縮を実現した新型コロナウイルス感染症（COVID-19）用遺伝子検出キット「SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection kit」を 4 月 15 日より発売します。
これまで培った検出ノウハウ・技術を活用し、逆転写反応とリアルタイム PCR に着目して各段階 で効率化を図り、合計約 90 分間反応時間を短縮できる PCR 法向けの検査キットの開発に成功しました。
反応試薬に加えて、感染研が公示しているプライマー※4 とプローブ※5 をセットにしたキットを製造し、検査に必要な試薬類を 1 つのキットにまとめた検出キットとして供給します。
また、本製品と他社開発の新たな RNA 抽出キットを組み合わせることで、PCR 検査法を用いた新型コロナウイルス感染症（COVID-19）検出において、4～6 時間かかっていた検査時間を約 2 時間短縮することが可能となります
開発中および発売予定の日本企業
まだ発売はされていませんが、プレスリリースなどで開発中および発売予定であることが報じられている企業です。
島津製作所（2020年4月20日発売予定）
遺伝子増幅法（PCR法）により、新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）を定性的に検出する試薬です。
鼻咽頭拭い液などの試料をRNAを精製することなく簡単な前処理だけで使用できます。
特長
簡便：試料からRNA抽出・精製は不要、このキットだけで検出できます
迅速：前処理、反応/検出で約70分です。
ビズジーン
ビズジーン社のツイッター（2020年2月28日）によると、核酸クロマト法による簡易検査キットを開発中です。開発資金をクラウドファンディングで募集しています(READYFOR)。
塩野義製薬（Vazyme Biotech社製）
イムノクロマト法を用いた新型コロナウイルスIgG／IgM抗体検査キット「COVID-19抗体検査キット」を発売予定です。本キットは、マイクロブラッドサイエンス社（東京）が製造元のVazyme Biotech社（中国）から輸入し、塩野義製薬の商流で販売される予定です（日経XTECH, 2020/03/17 ）。
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