2021年1月18日に日本郵便(日本郵政グループ)より、「新型コロナウイルス感染症のセルフ PCR検査の検体の取り扱い」のニュースリリースがありました。このニュースリリースにおいて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査用の検体は、郵送前にウイルスを不活化しておくことが必須になりました。
そこで、本記事では各社から市販されているウイルス不活化剤(試薬)をまとめました。
市販されているウイルス不活化液には、検体採取容器に予め充填されているものと自分で容器に充填するものの2種類があります。
ウイルス不活化液入り検体採取容器
まずは検体採取容器にウイルス不活化液が予め充填されている製品です。
協同インターナショナル社:OMNIgene®・ORAL OM-505 唾液用(オムニジーン・オーラル)
OMNIgene ORAL OM-505は唾液を採取し、唾液中の新型コロナウイルス由来のRNAを室温で保存できるキットです。
唾液採取後は、OMNIgeneの保存溶液と混合することで、新型コロナウイルスを不活化することができます。また付属のキャップを正しく閉めることで、カテゴリーB病原体を輸送するための一次容器として利用可能です。
唾液からマイクロバイオーム(細菌/ウイルス)の採取、保存が可能なキットです。採取した検体を室温で、OM-501(DNA)は最長1年間、OM-505(DNA・RNA)は最長3週間保存できます。
OMNIgene®・ORAL OM-505 唾液用の動画
OMNIgene®・ORAL OM-505 唾液用の使い方
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化データあり
共同インターナショナル社は、OMNIgene®・ORAL OM-505 唾液用を用いた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化データを公開しています。
購入方法
富士フイルム和光純薬の代理店より購入可能です。
ジェネシスヘルスケア株式会社:ウィルスRNAコレクションキット(鼻咽頭検体採取用)
このVirus RNA Collection Kitの核となるのは、ウィルスの溶解と保存の二つの機能を兼ね備える最適化されたRNA保存液です。サンプルがチューブ内の保存液と完全に混合されると、ウィルスは即座に殺菌および溶解され、実験室スタッフのバイオセーフティリスクが劇的に減少します。長年の研究により、当社の保存液はサンプルRNAを長期間安定させるために最適化されており、コールドチェーン輸送を必要とせずに、時間とコストを節約し最も信頼性の高い結果をもたらします。
ウィルスRNAコレクションキット(鼻咽頭検体採取用)の使い方
購入方法
アズワンより購入可能です。
ウイルス不活化液(未充填)
次にウイルス不活化試薬の単品製品です。別途検体採取容器に充填して使用します。
Bioer Technology社:ウイルス不活化 保存/輸送用試薬
ウイルスを不活化し、また様々なサンプル(唾液、⼝腔液、体液、全血、綿棒)を安全に室温で保管・輸送が可能となります。
溶液のみの取り扱いなので、Swab法(鼻腔、口腔)や Saliva法(唾液)にも対応できます。
ウイルス不活化 保存/輸送用試薬の使い方
様々なサンプル(唾液、口腔液、体液、全血、綿棒)の採取が、シンプルに行えます。
例1) 唾液、口腔液、体液、全血およびその他の液体サンプル
- 適量の液体サンプルをチューブに入れ、サンプル保存液の2倍量を加えます。
- サンプルを抽出する前にチューブを15 秒間激しく振って、テスト用に200〜300 μLの溶液を採取します。
例2) スワブ(綿棒)
- サンプルをスワブで採取し、すぐに2 mL遠心チューブに移します。
- 綿棒を切り離し、綿棒のサイズに応じて適切な量のサンプル保存液を追加して、綿棒を完全に浸せるようにします。
- サンプルを抽出する前に、綿棒の保管チューブを1 分間激しく振って、200〜300 μLの浸漬液を試験に使用します。
購入方法
日本ジェネティクスより購入可能です。
Miraclean Technology社:SARS-CoV-2 不活化試薬
SARS-CoV-2不活化により医療従事者への感染リスク低減に加え、簡易梱包での検体輸送が可能になることから輸送費低減や輸送時間の短縮も可能になります。
検体を採取してから短時間(約10分)で不活化を実現することで、院内での即日検査にご利用いただけます。
SARS-CoV-2 不活化試薬の使い方
(1) 検体を採取します。
患者検体の採取方法については、国立感染症研究所のプロトコール「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」の最新版を参照してください。
(2) 本品に検体を添加します。
鼻咽頭ぬぐい液を用いる場合
検体を採取した綿棒を本品の保存液中に浸し、綿棒を左右に振って充分にかくはんします。このとき、綿棒の綿球全体が保存液中に浸るようにします。
唾液を用いる場合
マイクロピペット又はスポイト等の器具を用いて本品1 本に唾液を 1.0~1.5 mL 添加します。
検体が規定量に足りない場合、検査において偽陰性となる可能性があります。また、規定量を超える検体を添加した場合、RNase を充分阻害できず、安定的に保存できない可能性があります。
検体添加後、充分にかくはんしてください。
(3) 蓋をしっかりと締め、蓋が緩むことを防止するために周りにパラフィルム等を巻いてシールします。
購入方法
シスメックス株式会社より購入可能です。
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